モノトーンの肖像画

アクセスカウンタ

zoom RSS 【元号の風景】(1)大化(645〜650年)奈良・明日香村

<<   作成日時 : 2019/05/11 21:41   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

 平成から令和へ、新元号がスタートしました。大化以来、幾度かの中断を挟みながらも連綿と続いた元号は、歴史の証人でもありました。産経新聞では、そうした歴史の舞台となった元号の史跡を紹介する連載が始まっております。

画像
飛鳥寺にある蘇我入鹿の首塚。背後の丘陵は蘇我一族が館をかまえた甘樫丘

勝者の歴史に記された「改新」
 深い森のような甘樫丘(あまかしのおか)からすべり落ちてくる風が、冷たく尖(とが)っていた。麓(ふもと)の田畑のあたりで渦を巻き、しげる雑草をサワサワと揺らせていた。そのあいだから、ちいさな五輪塔(ごりんのとう)がのぞいていた。
 蘇我入鹿(そがのいるか)の首塚である。平日の午後、参拝に訪れる人もあまりいなかった。
 蘇我一族が建立した飛鳥寺の境内を出たところに、ポツンと建っていた。入鹿の時代には五輪塔の墓制はなく、年を経てから、建てられたのであろう。
 甘樫丘には、入鹿が父親の蝦夷(えみし)とともに築いた要塞のような館(やかた)があった。のちに「天皇」と呼ばれることになる「大王(おおきみ)」の宮のあたりを睥睨(へいげい)する位置にあり、「不敬」だとされた。
 日本史をあらっぽく紐解(ひもと)けば、「悪い事」をした人物はいくらでもいる。だが「悪い事」をしたから、すなわち「悪人」だと、いまだに冷遇されているのは入鹿くらいであろう。
 飛鳥寺は、わが国最古の寺院とされる。かつては塔を中心に金堂などが建ち、広大な寺域をかかえていた。皇極天皇4(645)年6月12日午後、雨が降るなかを中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)(のちの天智天皇)に率いられた兵士たちが、このあたりに陣を敷いた。甘樫丘の蘇我の館でも兵たちが集まり、一触即発のにらみあいとなった。
 その数時間まえ、飛鳥寺から300メートルほど離れた飛鳥板蓋宮(あすかいたぶきのみや)では朝鮮三国の使者を迎える儀式が、天皇の臨席のもとで行われようとしていた。入鹿も参列していた。そのとき、中大兄が突然、「剣を以(もつ)て入鹿が頭肩を傷(やぶ)り割(そこな)ふ。入鹿驚きて起つ。(部下の)子麻呂、手を運(めぐら)し剣を揮(ふ)きて、其の一つの脚を傷りつ」(日本書紀)という事件がおき、入鹿は惨殺された。
 中大兄側は「(入鹿は)天宗を尽し滅して、日位(ひつぎのくらゐ)を傾けむとす」(書紀)としたからだ、と主張した。大王位の簒奪(さんだつ)をはばむためというが、「書かれた歴史」は、つねに「勝者の歴史」であり、真相は不明としかいいようがない。

祖父・馬子の栄華
 明日香村の代表的な観光スポット・石舞台古墳は、飛鳥寺から1・5キロほどの街道沿いにあった。被葬者は入鹿の祖父にあたる馬子(うまこ)である。
 幼児が組み立てた積み木のような外観だが、なんども起きたであろう地震にもたえた。“舞台”にのぼってみたかったが、「絶対に上らないようにお願いします」というプレートがあった。
 すくなくとも昭和20年代には、こんなプレートはなかったはずである。このころ訪れた文芸評論家・小林秀雄はエッセー「蘇我馬子の墓」で「馬子の墓の天井石の上で、辨当(べんとう)を食ひながら、私はしきりと懐古の情に耽(ふけ)つた」と書いているからだ。
 ぐるりとまわり、暗い石室内に入ろうとしたら、若いカップルがハグしながら、天井石を見あげていた。石室内に入った小林は「死人の家は、排水溝なぞしつらへ、風通しもよく乾き、何一つ装飾らしいものもなく、清潔だ」と書いたが、「不潔だ」と思い、入る気分にはなれなかった。
 「ナゾの豪族」と呼ばれる蘇我一族(本宗家)は古代史に唐突に登場し、馬子の代で栄耀栄華(えいようえいが)をきわめ、入鹿の代であっさりとほろびた。「清潔だ」という墓に葬られた馬子とはちがい、白色テロルで惨殺された入鹿と、その直後、自殺に追い込まれたらしい蝦夷の墓は所在地もハッキリしない。
 ハッキリしているのは、このテロルがのちに「大化の改新」と呼ばれ、日本国では初の「大化」という元号をうんだことであろう。(客員論説委員 福嶋敏雄)
 次回は1月12日掲載「養老」
 ■蘇我一族
 「蘇我」の名前が史料に初めて登場するのは、馬子の父・稲目(いなめ)(?〜570年)からである。その出自については、渡来人説など諸説あるが、大和盆地南西部の葛城地方の豪族とする説が有力らしい。「本家」にあたる本宗家は入鹿の代で滅びたが、「分家」筋はその後も朝廷に仕えた。入鹿の従兄弟(いとこ)の蘇我倉山田石川麻呂(そがのくらやまだのいしかわまろ)は改新の際、中大兄側について重臣となり、孫には持統(じとう)天皇や元明(げんめい)天皇がいる。

*2019.01.05 産経新聞より
(https://special.sankei.com/f/life/article/20190105/0002.html)

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文

天気予報


コアラのマーチ


AKB48ブログ集

© AKB48ブログ集
【元号の風景】(1)大化(645〜650年)奈良・明日香村 モノトーンの肖像画/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる