
表題にもあるように、「値上げは当然の権利」とうそぶいていた東電の値上げ申請は、圧縮されたものになった。人心の最も批判の的になった人件費は、さらに圧縮されたが、どうせボーナスは出るんだろう。ボーナスとは会社の業績に応じて、支払われるものであり、東電のような高給体質では給与の後払い的な性格などない。ゼロというのは本来当然なのだ。
しかし、最も問題なのは、東電の社員と家族などの関係者に、当事者意識が全く見られないことである。私は、数か月に1回、経済団体や役所との会議に出席している。そこには、東電や東京ガスなどインフラ関係の会社も出席しているが、東電から原発事故や昨年夏の過酷な節電などについて、何ら説明やお詫びなどなかった。もちろん、値上げの話もない。いつもと同じように、大口電力の使用状況を淡々と説明するだけなのだ。
こんなありさまだから、東電社員が何か自発的に、原発被害に対応したなどという話も聞かない。風評被害に苦しむ福島県のみならず、茨城県や東北などに手を差し伸べたか?社員食堂でこれらの地域の農水産物を使ってみることをしたか?社員みんなで購入しようなどの動きがあったか?屁理屈だけを述べて、何もする気のない東電社員とその関係者、家族と言い換えてもよい、あなたたちに少しでも当事者意識があれば、もっと自発的な動きがあってもいいはずである。
『傲慢』、この言葉がこれほど似合う人々は、他にはいない。それが端的に表れたのが、社内事故調査報告書である。これによれば、東電はまったく悪くないのだ。これまでの政府の原発政策と事故時の菅総理が悪いのだ。この期に及んで、しゃあしゃあとよく、こんな報告が出せたものである。自分たちがいなけりゃ電気がなくなって困るのは、お前たちだろうという、上から意識は間違いなくある。
東電社員とその家族に、高田渡の名曲「自衛隊に入ろう」の替え歌、「東電に入ろう」を送る。
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井出浩司