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zoom RSS 【明治の50冊】(1)『西国立志編』サミュエル・スマイルズ著、中村正直訳

<<   作成日時 : 2018/04/22 23:32   >>

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 明治150年にあたる今年、産経新聞社では明治年間に書かれた先達の作品を紹介していきます。著作権も切れ、ともすれば忘れがちになる古典をもう一度再認識させてくれる好企画です。

閉塞状況打開のカギに 読者を鼓舞 『西国立志編』サミュエル・スマイルズ著、中村正直訳

■今再び「自助、自立の精神」
 あけましておめでとうございます。明治150年という区切りの年、これから50回にわたり、欧米列強による植民地化の危機を知恵と努力と勇気で乗り越えた明治人が残してくれた作品を毎週1冊ずつ紹介してゆきます。取り上げるのはいまなお私たちに多くの「気づき」を与え、鼓舞してくれるであろう作品です。読者のみなさんにとってこの連載が明治の古典に触れるきっかけとなるよう、単なる内容紹介にとどまらず、作品が書かれた時代のエピソードや現代のこぼれ話などをまじえた読み物にしたいと考えています。
 〈天は自ら助くるものを助く…〉。有名な一文から始まる『西国立志編』は英著述家、サミュエル・スマイルズ著『セルフ・ヘルプ(自助論)』(1867年版)の翻訳本。明治3〜4年に刊行され、福澤諭吉著『学問のすゝめ』と並ぶ明治のベストセラーだ。
 訳者の中村正直(敬宇)は江戸幕府の儒学者で、幕末に渡英した際、現地で『自助論』を贈られた。幕府が倒れ帰国後、徳川宗家に従い静岡に移住。静岡学問所で教授の傍ら同書を翻訳、出版した。中村自身も含め幕藩体制崩壊で意気消沈していた旧幕臣を奮い立たせたいという思いが込められていたともいわれる。
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中村正直

 全13編、324項目からなる同書は、西洋の偉人約300人のサクセスストーリーと、生き方に関する格言などを収録。登場するのは数々の苦難にあいながら忍耐と努力、勤勉、節約、正しい品行で道を切り開いた人々…スティーブンソン、ワット、アークライトら発明家、コペルニクス、ニュートンら科学者、シェークスピア、ミケランジェロ、ナポレオンら著述家、芸術家、政治家…。
 さまざまなエピソードから自助の精神を教え、〈自ら助くる人民多ければ、その邦国、必ず元気充実し、精神強盛なることなり〉と説いた。
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明治3〜4年刊行の『西国立志編』タイトルページ(画像提供・国立国会図書館)

 『日本文学大辞典』(新潮社、昭和8年)は、同書の項で〈彼は言ふ…奮つて起(た)て、如何(いか)なる運命でも思ふ儘(まま)に開いて行けと…今読んでも、立派な教訓である〉〈福澤が智の世界を見せたと云(い)ひ得るなら、敬宇は正に徳の世界を見せた〉などと評している。
 学制発布(明治5年)で小学校修身(道徳)教科書にも採用。当時の資料を所蔵する玉川大学教育博物館の学芸員は「新しい自立的な生き方の理想を明治期の青少年たちがこの本から感じとり、求めていった」と見る。

 9年10月25日の東京日日新聞は〈日本国中人民の心を振起し…真の国益と成りたる書物〉と紹介。作家、星新一は昭和53年刊『明治の人物誌』(新潮社)で、苦労して製薬会社を興し、成功させた父、一(はじめ)の「人生観の源泉」がこの本だったと明かし、〈新しさがあり、ロマンがあり、夢があり…人をかりたてるものがある〉と本の魅力を伝えている。
 さらに『西国立志編』序文にある〈一人の命は、全地球より重い〉の一文は、23年3月、最高裁判所で死刑の合憲性が問われた裁判の判決文冒頭にも引用されるなど及ぼした影響は大きかった。
 その本は今、56年に復刊された講談社学術文庫版で読める。昨年末現在33刷と毎年のように増刷。「『論語』などのように人生の指針となる本でもあり、長期間、堅調に部数を伸ばしている」と担当者。
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明治3〜4年刊行の『西国立志編』講談社学術文庫版

 平成25年には『現代語訳 西国立志編』(PHP新書)も出た。企画、現代語訳した歴史コメンテーターで教育ジャーナリストの金谷俊一郎さんは「もとは英国の本だが、そこには中村正直のメッセージが込められ、『純日本式成功哲学』が凝縮されている」といい、こう続けた。

 「個のためでなく、公のために事を成し、国民全体で力をつけていくのが日本式。明治維新後の躍進、戦後の復興を自助の精神で乗り越えてきた日本。今の閉塞(へいそく)状況を打開するカギもこの本にあるのではないか」
 中村が『西国立志編』を執筆した住居の記念碑「尚志(しょうし)の碑」がある富春院(静岡市葵区)の鈴木眞道住職も、同書を読み継ぐ意義を語る。
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富春院山門前にある「尚志の碑」には、碑から「北百二十歩左ニ入ル三十歩」と中村正直の旧宅跡への案内が書かれている=静岡市

 「自立した人を育てることが国をつくるというのが先生の精神。今は豊かな時代だが、物事の取捨選択が必要で、それぞれがしっかりしないといけない。その意味では、今の日本人、国自体も危ういのだから」(三保谷浩輝)
【プロフィル】なかむら・まさなお
 天保3(1832)年、江戸で下級武士の家に生まれ、幼時から学問の才を発揮。文久2(62)年、昌平坂学問所御儒者に。慶応2(66)年、幕府遣英留学生に同行。帰国後、『西国立志編』『自由之理』(J.S.ミル著)を翻訳出版。明治6(73)年、後に慶応義塾と並び称される私塾・同人社設立。東京女子師範学校校長、貴族院議員なども務め、24(91)年、死去。

*2018.01.08 産経新聞より
(http://www.sankei.com/life/news/180108/lif1801080028-n1.html)

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