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zoom RSS 【敗者烈伝】〜作家・伊東潤 平将門(上)武勇無双、一門私闘を制す

<<   作成日時 : 2016/03/19 22:33   >>

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 産経新聞で作家の伊東潤さんが日本史の敗者に光を当てる素晴らしい歴史エッセーを連載しています。

 9世紀の末頃、京都から坂東(ばんどう)に下向し、上総国に土着した桓武天皇の曽孫・高望王(たかもちおう)とその息子たち、長男国香(くにか)、次男良持(よしもち)、三男良兼(よしかね)、四男良正(よしまさ)は、典型的な受領(ずりょう)土着型豪族として勢力を拡大していた。
 良持の嫡男として延喜3(903)年に生まれたとされる将門は、元服の儀を済ませた後、京に上り、時の権力者・藤原忠平(ただひら)に仕えた。同じ頃、国香の息子・貞盛も京にいた。
 将門と貞盛は宮中での栄達を望み、競うように働いた。ところが父の良持が早死にし、その遺領を良持の兄弟たちに押領(おうりょう)されていると聞いた将門は、故郷に戻ることにする。
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幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師・月岡芳年が描いた平将門(東京都立図書館蔵)

 急ぎ帰郷した将門だったが、父の所領は奪われた後であり、将門に残されたのは下総国の豊田郡ぐらいだった。将門はそれだけでも守ろうと、「党」の結束を強めて「伴類(ばんるい)」を増やすことに注力する。党とは家の子や郎党で固めた直臣団、伴類とは同格の同盟者、すなわち土着の開発領主たちのことである。また将門は、勢力圏の外縁部に「営所」を築くことにも力を入れる。営所とは、軍馬、武器、兵糧などを貯蔵しておく拠点、いうなれば城のことである。

 承平(じょうへい)5(935)年2月、何かの用向きで、将門は豊田郡を出て北に向かっていた。そこを、伯父国香の縁戚にあたる源護(みなもとの・まもる)とその息子たち、扶(たすく)、隆(たかし)、繁(しげる)の3兄弟に襲撃される。ところが将門は無類の活躍を見せ、3兄弟を討ち果たした上、護を追い払った。野本の合戦である。
 ところが源一族の背後に、国香がいたことが判明し、激怒した将門は筑波、真壁(まかべ)、新治(にいはり)の3郡に攻め入り、放火と略奪を行った。筑波郡には国香の本拠もあり、この戦いで、国香は討ち死にしたとみられている。
 この一報を受けた国香の息子の貞盛は急ぎ帰郷するが、自領の被害は大きく、将門に太刀打ちできないと見て自領防衛に徹することにした。
 同年10月には、源護に助けを求められた良正が報復戦に乗り出してくる。その情報を得た将門は、機先を制すべく新治郡へと駒を進め、川曲(かわわ)村での遭遇戦で大勝利を収めた。一方、敗れた良正は、兄の良兼に助けを求めることになる。
 「機先を制する」という言葉があるが、将門ほど、それを実践した武将はいない。こうした戦い方は、当時の資源や生産力の乏しさに起因している。すなわち、たとえ勝っても自領内で戦えば、田畑は焼かれて被害は甚大となる。それなら敵の動きを事前に察知し、先手を打って敵領内で戦う方が利口である。そうしたことから将門は、情報を掴(つか)むことに長(た)けていたと思われる。

 承平6年6月、今度は、上総国武射(むさ)郡を本拠とする良兼が動き出す。良兼は良正、源護、貞盛ら反将門派諸将と手を組み、豊田郡への侵攻を図ってきた。
 これを聞いた将門は下総から下野方面へと進出、敵を見るや奇襲を敢行、瞬く間に八十余騎を討ち取った。逃げる良兼を追った将門は、良兼らの逃げ込んだ下野国府を囲んだ。しかし、国府を攻撃しては朝敵とされるため、将門は囲みを解かざるを得なかった。
 一方、実力では勝てないと覚(さと)った源護は、朝廷に訴え出た。これにより将門に出頭命令が届く。この命に従って上洛した将門は、検非違使(けびいし)庁での尋問にも堂々と弁明し、無罪となった。(次週に続く)
【用語解説】平将門
 たいらのまさかど 延喜3(903)年ごろ、関東地方に土着した桓武平氏の一門、良持の子として生まれる。下総(現千葉県北部)の父の遺領をめぐって親族と争いを繰り返し、伯父の平国香を討ち取るなどして勢力を広げる。抗争の中で常陸(現茨城県)・下野(現栃木県)・上野(現群馬県)の国府を攻め落とし、関東一円を制圧して「新皇」を名乗るが、天慶3(940)年、朝廷の追討軍に敗れ戦死した。
【プロフィル】伊東潤
 いとう・じゅん 昭和35年、横浜市生まれ。早稲田大卒業後、外資系IT企業勤務、コンサルタントなどを経て、平成19年に「武田家滅亡」で文壇デビュー。25年、「巨鯨の海」で山田風太郎賞受賞。
 本連載は月刊「J−novel」(実業之日本社)に掲載された作品のダイジェスト版です。


*2015.10.01 産経新聞より
(http://www.sankei.com/life/news/151001/lif1510010014-n1.html)

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コメント(1件)

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NHKの大河では、加藤剛がたまたま矢にあたって死んでしまった、みたいな感じだった、と思います。
井出浩司
2016/03/20 05:14

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