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zoom RSS 【敗者烈伝】〜大鳥圭介(上)幕末を駆け抜けた理系指揮官

<<   作成日時 : 2015/07/17 22:48   >>

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 産経新聞で作家の伊東潤さんが日本史の敗者に光を当てる素晴らしい歴史エッセーを連載しています。

 どの時代でも敗者に待っているのは、死か没落である。
 後世に生きるわれわれは、敗者の潔さに感銘を受け、その死に様に心を打たれる。
 ところがここに、そうした「敗者の美学」に最も似つかわしくない男がいる。
 いくら負けてもくじけずに戦い、もうどうにもならなくなったところで、死なずに降伏する。それだけならまだしも、いつの間にか新しい時代を担う一人になっている。
 これも一つの人徳なのだろうが、そのにじみ出るような愛嬌(あいきょう)から、この男を嫌う者は少ない。
 大鳥圭介は天保3(1832)年、播州赤穂細念(さいねん)村の医家に生まれた。
 少年期、備前国の閑谷(しずたに)学校で勉学に励んだ大鳥は、19歳の時、西洋医学を学ぶため赤穂城下に出て、初めて西洋文化に触れる。
 洋学への思いは募り、嘉永5(1852)年の春、大坂に出て緒方洪庵(こうあん)の適塾に入る。そこで蘭語を学び、蘭語で書かれた兵法書を読みあさり、その面白さに取りつかれる。
 翌嘉永6年6月には、ペリーが浦賀に、翌月にはプチャーチンが長崎に来航し、諸藩で海防意識が高まり始めた。こうした情勢の下、大鳥は蘭書を読みあさり、その筆耕(ひっこう)と翻訳で学資を稼いだ。
 さらに多くを学びたくなった大鳥は、嘉永7年8月、江戸に出る。
 江戸でも大鳥は、医学・物理学・兵法・砲術・築城術などの蘭書を読みふけり、筆耕や翻訳をした。

 その間も外圧は日増しに高まり、海防の重要性が叫ばれ始めていた。そんな最中の安政5(1858)年、大鳥の故郷の領主である尼崎藩は、大鳥を士分に取り立てた。
 早速、大鳥は大小砲の鋳造(ちゅうぞう)、砲台築造、洋式兵制の伝授と調練などに辣腕(らつわん)を振るう。大鳥の無尽蔵の知識と抜群の指導力は他藩にまで聞こえ、徳島藩蜂須賀(はちすか)家からも誘いがあった。
 尼崎藩に義理立てした大鳥は、この話を断るが、両藩の話し合いにより大鳥の移籍が決まった。安政6年、28歳の時である。
 さらに同年12月、幕府は大鳥に臨時の役職を与え、練兵・製銃・築城の責任者とした。
 幕府は陸海軍の洋式化を急ぎ始め、慶応2(1866)年、35歳の大鳥を幕臣に取り立てる。
 早速、幕府開成所(後の東大)の教授に就任した大鳥は、欧州諸国の兵法書を中心とした翻訳に没頭した。
 大鳥の学識は幕府開成所内でも飛び抜けており、歩兵差図役から歩兵頭、そして歩兵奉行へと異例の昇進を遂げていく。
 幕府の命により大鳥は、馬丁(ばてい)・陸尺(ろくしゃく)(駕籠(かご)かき)・雲助(くもすけ)・博徒(ばくと)・火消などを集め、4大隊3千の兵力の伝習隊を組織した。
 慶応3年1月、フランス軍事顧問団を迎えた大鳥たちは、横浜太田村の練兵場で激しい訓練を始めたが、幕府の権威と屋台骨は揺らぎ続けていた。
 10月、将軍慶喜(よしのぶ)が突然、大政奉還する。12月、王政復古の大号令が発せられ、慶喜の辞官納地が決定することで、旧幕府と薩長新政府の衝突は不可避となる。
画像

 そして翌慶応4年正月3日、鳥羽伏見の戦いが始まり、幕府軍は惨敗を喫した。
 いよいよ大鳥の出番である。
【用語解説】大鳥圭介
 おおとり・けいすけ 天保3(1832)年、播磨国(現・兵庫県)生まれ。岡山の閑谷学校で漢学を学び、大坂、江戸で西洋医学や西洋式兵学を修める。幕府に登用され、開成所教授を経て歩兵奉行に。戊辰戦争では関東・東北を転戦した末に五稜郭で降伏。維新後は明治政府に出仕し、工部大学校校長などを歴任。その後清国公使となり、のちに朝鮮公使も兼任して27年の日清戦争前夜の外交交渉を担当。明治44(1911)年、死去。
【プロフィル】作家・伊東潤(いとう・じゅん) 昭和35年、横浜市生まれ。早稲田大卒業後、外資系IT企業勤務、コンサルタントなどを経て、平成19年に「武田家滅亡」で文壇デビュー。25年、「巨鯨の海」で山田風太郎賞受賞。
 ※本連載の完全版は月刊「J−novel」(実業之日本社)で連載中です。


*2014.10.17 産経新聞より
(http://www.sankei.com/life/news/141017/lif1410170036-n1.html)

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
京歌子が、元女房、ではないんだよね。
井出浩司
2015/07/18 06:02
このツッコミ、絶対来ると思った。
えっ、鳳 啓助でございますよ...
管理人
2015/07/18 12:55

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