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zoom RSS 晶子の執着(9)恋のトライアングル 永観堂の秋

<<   作成日時 : 2013/06/16 14:38   >>

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 産経新聞WESTで記者の石野伸子さんが与謝野晶子についての素晴らしいコラムを連載しています。

 与謝野鉄幹をめぐる晶子と山川登美子の物語ほど、心騒がせるものはないのではなかろうか。

 時代の先端を行く若き文学の師。才能も男の魅力もあふれる師を前に激しくライバル心を燃やす弟子2人。師はその2人を競わせるかのように、人々の前に高々と2人の歌を掲げる。
画像
明治33年11月5日、京都に宿泊した際に撮影した写真。晶子(右)と山川登美子(山川登美子記念館所蔵)

 2人は一躍、注目の歌人となるが、一方は気に染まぬ結婚の果て、病いを得て若き命を散らし、一方は師の愛を獲得し、師を凌駕(りょうが)するほどの名声を自分のものにする。勝敗は歴然としているが、人々の心は敗者の心に強くひきつけられるのではなかろうか。たいていの人生は思い通りにならないのだから。

 山川登美子は明治12年、福井県生まれ。晶子よりひとつ年下で、山川家は代々小浜藩酒井家のお目付け役として仕えた名家、父親は第二十五国立銀行の頭取というお嬢様だった。小さいころから頭脳明晰(めいせき)、父親自慢の娘で、地元の学校を卒業した後、先進的な女子教育をする大阪のミッションスクール・私立梅花女学校に入学し、大阪に嫁いでいた姉の家から通学した。卒業していったん故郷に帰るが、33年4月から再び同校の研究生となり、大阪の姉のもとにきていた。

 鉄幹、晶子、登美子の人生はこの明治33(1900)年8月から11月まで、わずか4カ月の間にドラマチックな展開を見せる。


やは肌のあつき血しほ… vs …安きねむりの二人いざ見よ


 登美子はその年のはじめ、晶子とほぼ同時期に新詩社の同人となり、「明星」に投稿を始める。初めて歌が載ったのも「明星」2号(33年5月)と2人同時。

 鳥籠をしず枝にかけて永き日を桃の花かずかぞへてぞ見る

 清楚で女性らしい感性にあふれた歌は、読者の目を引きつけ、晶子も注目した。2人が初めて顔を合わせたのは同年8月の鉄幹大阪訪問の際。
鉄幹は才能ある女流同士として2人を引き合わせ、浜寺での歌会や住吉神社の散策などでは、常に晶子、登美子一緒に伴った。つまり、この時期、表面的には2人はほぼ同列にある。

 残された文章や歌などから、晶子と登美子はライバル心は当然もっていただろうが、女友達として心を許す関係にもなった。この時代、若い女性の行動はあれこれ規制され、晶子は歌会に出かけるにも常に乳母がつくほど窮屈だった。姉の家に寄宿していた登美子の方が自由がきき、福井のお嬢様で有名な女学校で学んでいる登美子からの誘いは晶子にとってもありがたかった。その後の2人の大胆な行動も、可能になる。

 夏の対面で2人は鉄幹に夢中になった。鉄幹が帰京した直後の明星6号(明治33年9月)に掲載された2人の歌は熱い。

 わが手もて摘みてかざせるひと花も君に問われて面染めにけり(登美子)

 病みませるうなじに細きかひなまきて熱にかわける御口を吸はむ(晶子)

 思いを込めた歌を師に送り、それに朱を入れて師の手紙が返される。歌の世界と現実がないまぜになった恋心はどこまでも燃え上がる。「明星」7号(明治33年10月)には晶子の有名な歌が掲載されている。

 やは肌のあつき血しほにふれも見でさびしからずや道を説く君

 登美子も負けじと恋心を表白する。

 ほほゑみて焔も踏まむ征矢も受けむ安きねむりの二人いざ見よ

 そんな中、運命の秋がくる。人生は思いがけない試練を登美子に与えた。

 山川家の同族・山川駐七郎との結婚を両親が決めたことで、年末の結納までに郷里に帰らなければならなくなったのだ。駐七郎は外務省からメルボルン日本領事館に勤務したが病気をえて帰国、東京の貿易商の支配人をしていた。利発な登美子ではあったが、親の意向に逆らうすべは知らなかった。

 折も折、鉄幹が再び関西にやってきた。鉄幹はその時失意の中にいた。「明星」のスポンサー的存在であった妻の実家、林家から離縁を言い渡されたのだ。いつまでも養子縁組をせず、他の女性関係もみえる鉄幹に林家では愛想を尽かしていた。その話し合いの帰路、大阪に立ち寄った鉄幹は晶子と登美子の2人に声をかけ、京都行きを持ちかけた。

 登美子は帰郷をすることになったのでお別れの一夜を持ちたい、と晶子の実家に話し、晶子を連れ出した。登美子がもしそのとき鉄幹を独り占めしていたら、運命はどう展開しただろうか。

 3人は永観堂の紅葉を楽しみ、栗田山の辻野旅館で一泊する。3人3様に心乱れる1夜となった。


*2013.04.23 産経新聞関西版より
(http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/130423/wlf13042316300014-n1.htm)

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コメント(1件)

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鉄幹に二股かけられたっていうことか。登美子はその上、や*逃げされたわけで、塩谷瞬もこの時代に生まれたほうが良かった・・・・?
井出浩司
2013/06/16 20:45

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