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zoom RSS 晶子の執着(2)歌碑のみ残る 私の家は羊羹「駿河屋」

<<   作成日時 : 2013/06/03 22:21   >>

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 産経新聞WESTで記者の石野伸子さんが与謝野晶子についての素晴らしいコラムを連載しています。

 与謝野晶子は明治11(1878)年、現在の堺市堺区甲斐町に、父・鳳(ほう)宗七、母・津祢(つね)の間に生まれた。
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与謝野晶子生家跡に建立された歌碑。旧姓「鳳」から鳳凰が羽を広げた形になっている=堺市堺区

 母は後妻で先妻には娘2人があり、晶子には実のきょうだいとして後に東京帝国大学教授になる兄・秀太郎、次兄(=夭逝)、家業を継いだ弟・籌三郎(ちゅうざぶろう)、妹・里があった。晶子の本名は「鳳(ほう)志よう」。鳳家では「ショウコ」と呼び慣わしており、その音から筆名に「晶子」をあてたといわれる。

 生家は「駿河屋」という羊羹で知られた和菓子の老舗。曾祖父の代に和歌山の本店からのれん分けされ堺に出てきて開業、京や大阪にも名をはせ、店は紀州街道に面した町の中心地にあった。ただし、生家は第二次大戦ですっかり焼けてしまい、いまはその跡地に歌碑が残るばかりだ。

 この歌碑は昭和36(1961)年、晶子の没後20年の記念行事として建てられた。堺市内にある歌碑では最初の建立となる。

 生家跡となった場所は堺を南北に走る幹線道路・大道筋わき。大型車がひっきりなしに通り、全国から訪れる晶子ファンにとっては少々風情のないものともいえる。

 説明版によれば、戦後に道路が拡幅されたため、街道沿いにあった駿河屋の場所は道路のど真ん中にあたる位置になった。いまではそこに大阪唯一の路面電車「阪堺線」が走る。

 歌碑には晶子の自筆でこんな歌が刻み込まれている。

 「海こひし 潮の遠鳴りかぞへつゝ 少女となりし父母の家」

 明治37年、雑誌「明星」に発表した歌で、歌集「恋衣」に収められている。晶子26歳の作。すでに歌集「みだれ髪」を出版して新進気鋭の女流歌人として注目を集めた後の作だ。碑面には巻物「春風抄」(堺市博物館蔵)の中に記された自筆を刻字している。

 海が恋しい。幼いころ遠くから聞こえる波の音を数えて成長した生家。今はもうどんなに耳をそばだてても決して聞こえることのない潮の遠鳴り。そして遠くなった故郷。そんな海も家も両親も無性に恋しい。

 そんな思いだろうか。わずか26歳。しかし、故郷を捨て東京に暮らす晶子の望郷への思いはひときわ強かったことだろう。過ぎ去った幼少期への懐かしさ、切なさがあふれて胸を打つ歌だ。

 それにしても、路面電車が走るいまの甲斐町からは想像もつかないが、晶子が少女時代を過ごした明治初年には生家で潮騒が聞こえたのだろうか。

 歌にすべてを込めた与謝野晶子は、残念なことに自伝というものを残していないが、幼少のころについては思い出を綴った短い文章をいくつか残している。

 自由学園を創設した羽仁もと子が出した少女雑誌「新少女」の創刊号(大正4年)から9号にわたって「私の生い立ち」として連載したもので、児童文学研究者・上笙一郎さんが編集した『与謝野晶子児童文学全集(5)自伝私の生い立ち』(春陽堂)に収録されている。

 晶子37歳のころの回想だがそこには、幼少時代の堺の様子が晶子自身の手で生き生きと綴られている。

 大和川に弁当持ちで出かけた蚊帳の洗濯。手伝い人のおばさんたちときれいな水でじゃぶじゃぶ洗う音、河原の白い砂、川口のむこうに見える山々。あるいは和泉の山の茸(キノコ)狩り、新調の浴衣で心弾む夏祭りの様子。

 そして、海。

 「橋の南を真っ直ぐに行きますと大浜の海岸通になります。旭館という富豪の遊場所の石垣の長いのを通り越すと、もう漁師の家や貝細工を売る小家が並んでいます。真っ直ぐに行けば海の中に突き出た燈台に出るまでその道は続いています。(略)旭館の隣の何とかいう小さい丘の下に付いた道を曲がって街へ入ってきますと、其処(そこ)の大道の角に私の家があります」

 晶子の回想では家と海とはつながっている。しかし、その海は37歳の回想ではすでに少女時代のものとは姿を変えつつある。

 「昔は大きな船の入った港だった堺の海は、新大和川が川上から無遠慮に砂を押し流してくるので、年々に浅くなるばかりで、今はもう貝を拾うのに適した波らしい波も立たない所になったのです」

 「私はこんな所に居て大都会を思い、山の渓間(たにま)のような所を思い、静かな湖と云うようなものに憧憬して大きくなって行きました」

 そう「私の生い立ち」を書き終えた晶子。故郷への思いは、愛憎半ばするものがある。


*2013.02.26 産経新聞関西版より
(http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/130226/wlf13022616590018-n1.htm)



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井出浩司
2013/06/04 22:45

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